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オンラインビジネスサロンで学ぶ 日本経済の未来 

2020/06/26

米国での「第2波」の懸念

皆さん、こんにちは。中小企業の未来創造パートナーの宮野です。

本日の日経新聞朝刊から取り上げる記事は【日経平均続落 年金売り圧力、日銀買い「10回分」か】です。

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需給不安が台頭

年金の売りを意識する市場関係者が増えている。

25日午前の東京株式市場で、日経平均株価は前日比299円(1.3%)安の2万2234円で取引を終えた。

米国での新型コロナウイルスの感染「第2波」の懸念に加え、相場が3月の大底から勢いよく戻ったがゆえの需給不安が台頭している

世界の年金基金のリバランス(資産の再配分)で日本株にかかる目先の売り圧力が、日銀のETF(上場投資信託)買いの「10回分」にのぼるのだ。


25日午前の日経平均は徐々に下げ幅を広げる展開となった。三菱自動車や川崎重工業が5%安と輸出関連や景気敏感株を中心に下げが目立った。

米アリゾナ州やテキサス州などで感染者数が過去最大となったことで、24日の米ダウが前日比710ドル安と急落。

世界景気の先行きの不透明感が高まり、「いったん『足元の株高は行き過ぎだ』と冷静になり、利益確定売りが相次いだ」(りそなアセットマネジメントの戸田浩司チーフ・ファンド・マネージャー)という。

4~6月の四半期末が近づき、四半期ごとのリバランスによる年金の売りを意識する市場関係者が増えている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは「月末にかけて年金基金のリバランスの売りが出る局面に入った。

株式の需給は緩みやすく、買いを入れづらくなっている」という。米ダウ平均は3月末から16%、日経平均は19%も上げており、その分だけ株式比率を下げるリバランスの売り圧力が強いという見立てだ。

JPモルガン・チェースの試算によると、6月末の年金リバランスによって世界の株式が最大1700億ドル(約18兆円)ほど売られる見通しだ。

これを各国株式の時価総額の大きさに応じて単純に割り振ると日本株の売り圧力はざっと1兆円強。一方、日銀のETF買いは6月に入って4回あり、いずれも1001億円だった。

試算通りとすれば、日銀買い10回分に相当する売りが控えていることになる。

前日までの日経平均は、いったん下げても買い余力のある国内の機関投資家を中心に押し目買いが入り、持ち直す場面が多かったが、月末にかけて地合いが変わる可能性がありそうだ。

年金売りと日銀買いによるもみ合いがメーンシナリオとしつつ、感染「第2波」や地政学リスクの高まりがあれば目先の下値を模索する展開も想定される。

引用ここまで (引用元日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60767500V20C20A6000000/)

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この記事からどんなことが学べるでしょうか。

この記事から、年金の売り圧力の大きさが分かります。年金のリバランス、資産の再配分は「徐々に」行われるわけではなく、一気に行われますので、動く資金の量が莫大です。だからこそ、市場に与えるインパクトが大きいのです。

年金のファンドの中で、世界最大のファンドはどのファンドでしょうか。それは、日本の年金の運用を担う「年金積立管理運用独立行政法人」、略称「GPIF」です。

そして、GPIFは今回のこの記事の「リバランス」ではなく、本質的にもっともっと大きなリスクを抱えているのです。今回はこれを見てみましょう。

(参考図書:202X金融資産消滅/近藤俊介著/KKベストセラーズ)

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年金のファンドの中で、世界最大のファンドはどのファンドでしょうか。

GPIFとは何か?

●GPIFとは何か?
GPIFは公務員の共済年金を除いたサラリーマンや個人事業主などの公的年金を管理運用する機関です。

GPIFが管理運用する試算額は2019年6月末時点で、161.7兆円と、2019年度の国家予算102.6兆円を上回る大規模なもので、安倍総理はたびたび「世界最大の機関投資家」と豪語しているほどの巨大な運用資産を持つ機関です。

GPIFが管理運用する資金規模がどうして国家予算を上回るような規模に膨れ上がったのかというと、年金には保険料の徴収と年金支給の間に時間的ラグがあるからです。

GPIFの前身は1961年に設立された年金福祉事業団で、特殊法人改革などを経て2006年にGPIFという独立行政法人となり年金資金の管理運用を引き継いでいます。

日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれ、現役世代が支払う年金保険料と税金によって年金世代への支払を行う方式を採用しています

この「賦課方式」は、現役世代の数が多く、徴収する年金保険料総額が年金世代に支払う給付金総額を上回っている時にはこの差額が年金運用資産として積み立てられていきます。

GPIFの前身である年金福祉事業団が誕生した1961年といえば、日本が高度成長に向かい始めた時代で、戦後の1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」が経済成長の牽引役を果たしていた時代でした。

最も人口の多い「団塊の世代」が経済成長をけん引してたこの時代は、年金保険料を納める現役世代の人数が、年金を受け取る年金世代よりも格段に多かった時代でもありました。

国が発表している資料でも年金福祉事業団が設立された直後の1965年は、20~64歳の現役世代の人口は年金世代である65歳以上の人口の9.1倍だったと記されています。

現役世代が年金受給世代の9.1倍もいましたから、現役世代から徴収した年金保険料から年金給付をしても、当然の如く多額の資金が残ることになりました。

こうして残された資金が年金積立金としてプールされていったのです。この年金積立金は、グリーンピアという年金保養施設などへの杜撰な投融資などで、2000億円近くが消滅するなどの紆余曲折を経て2006年にGPIFに引き継がれていったのです。

現在GPIFが、安倍総理が「世界最大の機関投資家」と自画自賛するほどの多額の運用資産を管理運用しているのは、これまで年金世代が少なく現役世代から徴収してきた年金保険料が貯まってきたからにほかなりません。
 

GPIFが投資の運用益を吹き飛ばす。GPIFは損を出しても平気?

●GPIFは損を出しても平気?
「世界最大の機関投資家」として多額の公的年金資金を運用するGPIFは、2018年度(2019年3月まで)に2兆3795億円の収益を上げ、公的年金資金の市場運用を始めた2001年度からの収益累計が65.8兆円に達したと報じられています。

しかし、常に順調に収益を上げてきたわけではありません。

GPIFは、2015年度には第2四半期(2015年7月から9月期)に7兆8899億円、第4四半期(2016年1月から3月期)に4兆7990億円の損失を計上し、年度を通しても5兆3098億円の損失を計上しています。

さらに、2016年度第1四半期(2016年4月から6月期)には5兆2342億円、2017年度第4四半期(2017年1月から3月期)には5兆5408億円の損失に見舞われたほか、2018年度第3四半期(2018年9月から12月期)には米国を中心とした世界的な株安に円高が加わったこともあり、14兆8038億円という大きな損失計上を余儀なくされています。

このようにGPIFはたびたび多額の損失計上に見舞われているのです。そして、その度に一部のメディアで公的年金が破綻するかのように大きく取り上げられる一方、政府は一貫して「短期的な運用結果が年金財政の問題に直結したり、年金給付に直ちに影響を与えたりすることはない」と全く意に介さないようなコメントを出す光景が繰り返されました。

では本当にGPIFが運用で大きな損失を出しても年金給付に支障はないのでしょうか。

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GPIFの積立金の取り崩しが始まる。将来どのくらいの年金が受け取れるのか

政府がGPIFの多額の損失計上にもかかわらず、落ち着いていられるのは、現在の年金給付が現役世代から徴収する年金保険料と税金で賄われていて、GPIFの運用資産が財源として使われていないからです。

現在、年金給付の財源としてGPIFが管理運用する資金は使われていないのですから、GPIFが短期的に数兆円、時には10兆円を超えるような損失を計上しても政府は「年金給付に直ちに影響を及ぼさない」と他人事のようにしていられるのです。

GPIFの運用失敗が直ちに現在の年金給付に影響が及ぶのであれば、政府はこんなにのんびりはしていられません。年金支給額の減額を余儀なくされ、それが、年金受給者である世代の反発を招いて選挙結果に悪影響が出ることは必至だからです。

しかし、現在の年金受給者への年金支給は現役世代から徴収した年金保険料と税金で賄われており、GPIFの運用成績とは切り離されています。こうした状況なので、安倍政権はGPIFの運用成績に無頓着でいられるのです。

●世界最大の機関投資家が負っている宿命とは?
「世界最大の機関投資家」であるGPIFが背負っている運用上の宿命とは何でしょうか。

それは「評価益を実現益に変えることはできない」ということです

GPIFは、2001年に公的年金資金の市場運用が始まって以来2019年9月までの18年間に約67.9兆円の収益を生み、年率3.02%の収益率を得ていると公表しています。

しかし、この67.9兆円という収益は、当たり前のことですが、一般の投資信託などと同じように保有する株式や債券を時価評価した場合のものです。

つまり、実際に市場で売却して確定した利益ではなく、評価損益を含んだ収益額です。

2014年10月31日に日銀が打ち出した「異次元金融緩和」の拡大に合わせるようにGPIFはその基本ポートフォリオを「リスク選好型」に変更することで国内株式の買付余力を作りました。

この基本ポートフォリオ変更に基づいてGPIFは国内株式の持ち高を2014年9月末の23兆8635億円から2015年3月末には31兆6704億円まで約7.8兆円増やしたのです。

GPIFが半年間で国内株式の持ち高を約7.8兆円増やしたことで、株価も大幅に上昇することになりました。

GPIFの国内株式の運用においてベンチマークとなっている「TOPIX配当込み指数」は、基本ポートフォリオの変更を決めた10月末時点で1822.08ポイントでしたが、2015年3月末には2128.30ポイントまで306.22ポイント、16.8%もの上昇を記録することになりました。

GPIFによる大規模な買付が日本株の大幅上昇の原動力になったことは論ずるまでもないことです。

しかも、株価上昇をもたらしたのは多額の買付規模だけではありません。「世界最大の機関投資家」が国内株式への投資を増やすというアナウンスメント効果が、実際の大規模な買付額と同じくらい大きなインパクトを及ぼしたことは想像に難くありません。

しかし、「世界最大の機関投資家」によるアナウンスメント効果は、組入比率を引き上げる局面だけで発揮されるものではありません

逆もまた真なりで、「世界最大の機関投資家」が市場で売手に転じることになった際の逆アナウンスメント効果も世界最大級のものになることを忘れてはならないのです。

GPIFが基本ポートフォリオを変更した2014年10月直前の9月末時点でGPIFの国内株式への投資比率は18.23%、投資金額は23兆8635億円でした。

それに対して2019年6月末時点での国内株式への投資比率は23.5%、投資金額は37兆7642億円と投資比率で5.27%、投資金額にして13兆9007億円も多くなっています。

収益として上がったものを現実の現金に換金する「実現益」を確保するために国内株式の1割、3兆7764億円を売却したとしても投資金額は約34兆円と2014年9月末時点よりも10兆円以上も多く、国内株式の構成比藻24%前後と6%弱も高い状況であり、株価の変動の影響を受けやすくなっています

これは、換言すれば評価益を実現益に変え難い状況になっているということでもあります。

「世界最大の機関投資家」であるGPIFは、評価益を実現益に変えることができないという宿命を背負っている。

これが、政府やGPIFの運用戦略を決めている有識者たちや、日本の投資家が見逃している「世界最大の機関投資家」が抱える宿命であり、マーケットの厳しい現実なのです。

●GPIFが投資の運用益を吹き飛ばす
将来どのくらいの年金が受け取れるのかが、国民にとっての最大の関心事であるのは当然の事だと思います。

しかし、自助努力によって資産形成を進めていこうという「公助から自助へ」を目指す人たちには、近い将来年金給付の財源確保のために「世界最大の機関投資家」と称されるGPIFの積立金の取り崩しが始まるということは、将来どのくらいの年金を受け取れるかということと同じくらい重要であると認識していただきたいと思います。

GPIFの積立金が年金給付の財源として取り崩されることが決まっているということは、今後、日本の株式市場は「世界最大の機関投資家」の換金売りの影響を受けることになるということです。

そして、「世界最大の機関投資家」の売りは、年金給付の財源確保を目的としたものですから一時的なものではなく、目的を果たすまで続くということです。

それは、GPIFの資産取り崩しに伴う株式市場への影響も一時的なものにとどまらず、「世界最大の機関投資家」と称されるGPIFが「並の投資家」になるまで続く可能性が高いということでもあります。

(参考図書:202X金融資産消滅/近藤俊介著/KKベストセラーズ)

日本経済の動きから未来予測

宮野宏樹が、未来を予想

これから資産形成をする投資家は「世界最大の機関投資家」であるGPIFが、これまでのように「世界最大の買手」として市場に参加するのではなく、「世界最大の売手」として参加してくることを肝の銘じておく必要があるのです。


本日はここまでありがとうございました。

中小企業の未来創造パートナー 宮野宏樹

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株式会社ホットプラス

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